「……引っ越すって、ほんと?
遠くの街に行って、もう帰ってこないの……?」「う、うん……
お父さんが、転職したから……それで……あの……」このあたりは田舎で、仕事は少ない。
特にうちは、代々農家じゃなくて
役場や学校、地元の小さな会社に勤めることが多かった家系だから、
もともと仕事を求めて都会に出ていく人は多かった。
それで、会社に勤めていた父も、もっと高い収入と安定が欲しいとやらで一家で都会に越すことになったのだ。宮野いろは……
いろは姉ちゃんは、近くに住んでいる僕が生まれた時からの幼馴染で……
可愛がってくれる親戚のお姉さんのような存在で、
もちろん僕の初恋の人で――「……ずっとこのまま、一緒にいられたらいいのにな……」
「……ほら、私のも見て?小さい頃は、見たことあるよね?」
いろは姉ちゃんは思い出話を語りながら腰を落としてきた。
何がどうなったのか、この時は最初から最後までよくわからなかった。
生まれ故郷の片田舎で一緒に育った、幼馴染みで初恋のお姉さんに
童貞を奪われて果ててしまったのだ。その日から月日は流れ――
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